CROSS TALK
ブランド広告の最前線

ブランドが輝く場所を創る。アナログ営業の経験が、デジタル市場で大きな強みになる理由。

fluct
藤井 洋太
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石瀬 賢一
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「とにかく安く、効率よく」——。 驚異的な進化を遂げてきたデジタル広告がいま、大きな転換期を迎えています。 これまでの「オープンオークション」による効率重視の配信が行き過ぎた結果、広告主とメディアの双方が歪みを抱え始めています。こうした状況を打破する選択肢として、いま改めて注目を集めているのが「PMP(※)」です。 実は約10年前に上陸していたPMPが今、再び求められている理由。 それは、デジタル広告が効率だけを追うのをやめ、「誰に届くか」にとどまらず、「どんな媒体に広告を置けば、ブランドが最も輝くか」という掲載場所の価値を見つめ直すフェーズに入ったからです。 国内最大級のSSP事業を展開するfluctは、この動きを加速させ市場構造をアップデートすべく、2025年に「デマンドイノベーション本部(以下:DI本部)」を新設しました。 一見、デジタルとは対極にあるアナログ媒体で培われた泥臭い営業力が、なぜアドテク市場で大きな強みになるのか。 CEOの藤井とDI本部を牽引する石瀬との対談を通じ、自らの手で新たな市場を切り拓く「熱狂」と「リアル」を紐解きます。 ※PMP(Private Marketplace):参加メディアと広告主が限定された高品質なデジタル広告市場。掲載場所が明確で、ブランドイメージを損なわずに配信できるのが特徴。

藤井 洋太
Yota Fujii
株式会社fluct 代表取締役CEO
2009年VOYAGE GROUP(現CARTA HOLDINGS)に新卒入社。モバイル広告黎明期より数々の新規事業立ち上げや拡大に従事し、2020年に株式会社fluctへ参画。取締役、COO(最高事業責任者)を歴任し、2024年より代表取締役CEOに就任。
石瀬 賢一
Kenichi Ishise
株式会社fluct デマンドイノベーション本部 アクティベーションストラテジー部 部長
印刷会社や広告代理店を経て、アドテク業界へ転身。前職では事業責任者として海外でのタクシーサイネージ事業など、数々の新規事業立ち上げに従事。 2024年に株式会社fluctへ中途入社し、2025年に新設されたデマンドイノベーション本部 アクティベーションストラテジー部の部長に就任。

多様化するデジタル広告。いま、ブランドが求める「PMP」とは?

藤井
デジタル広告の世界は、オープンオークションという画期的な仕組みによって、誰もが手軽に、膨大なユーザーへ効率的にリーチできる時代を築いてきました。獲得効率(CPA)を重視する施策において、これからも非常に強力で不可欠な選択肢であることは間違いありません。一方で、極限まで効率を追求した結果、広告主側とメディア側の双方に歪みが生じ始めているのも事実です。
石瀬
そうですよね。ブランド広告主の方々と話していると、「安く大量に配信できているはずなのに、なぜブランドイメージが上がらないのか、なぜ効かないのか」という声をお聞きすることも増えました。

藤井
ええ。配信される場所の文脈を無視して、「とにかく安く届けばいい」という手法を続けても、ブランドの価値は作れませんよね。そして同時に、この構造はメディア側にも深刻な歪みをもたらしています。 掲載面の価値に関わらず「まずは安く、大量にリーチを稼ぐこと」だけを追いかけてしまうと広告費はどうしても安価な枠へと流れてしまいます。そうなると、手間暇かけて良質な情報を発信しているメディアに適切な収益が還元されなくなり、結果的にネット上のコンテンツ全体の質が下がってしまう。そんな危機感を持っています。


石瀬
仰る通りです。こうした広告主とメディア、双方の課題を同時に解決できるのが、アメリカで主流になりつつある「PMP」です。PMPであれば、広告主はブランド価値を守りながら育成できますし、メディアもコンテンツの質に見合った適正な収益を得やすくなります。 ただ、日本市場はまだ黎明期ということもあり、広告主や代理店側に「PMPをどう使いこなすべきか」という知見が十分に浸透していません。さらに、PMPという仕組み自体はあっても、システムを通じた自動取引だけでは「このメディアにはどんな熱量を持った読者がいるのか」といった媒体の深い特性までを広告主側が把握することは、構造上とても難しいんです。結果として、文脈を欠いた単なる「安全な枠のまとめ売り」になってしまっているのが、今の市場の大きな課題でした。
藤井
そうなんです。だからこそ、システムに任せきりにするのではなく、メディアの裏側を知り尽くしている私たちが、広告主に対してその価値を直接証明していかなければならない。その役割を担う組織としてDI本部を新設し、石瀬さんに任せたわけです。
石瀬
はい。まさにその役割を果たすべく、私たちが現場の最前線で広告主や代理店と向き合い、約5,000社のメディア群から最適な「場」をキュレーションして提案します。メディアの価値を広告主へ正しく届ける、いわば「最後の砦」になることが、DI本部のミッションだと考えています。

デジタルで「文脈」を創る。BizDev型セールスのリアル

藤井
デジタル広告は効率が重視されがちですが、DI本部はあえてそこに「手間」をかけていますよね。一社一社の課題に合わせて、メディアの価値を丁寧に翻訳して届ける。単なる広告枠の販売を超えた、まさに「BizDev(事業開発)」に近い動きをしているなと感じます。
石瀬
仰る通りです。私たちは既成のメニューを展開するのではなく、fluctが持つ膨大なメディアネットワークの中から、「このブランドなら、どの媒体のどの枠でお伝えするのが一番か」を一つひとつ考えてパッケージを組み上げます。
藤井
単なるマッチングだけでなく、その裏側にある「取引の仕組み」まで踏み込んで調整しているのもDI本部の特徴ですよね。
石瀬
CPMの設計や条件交渉、さらにはクリエイティブの提案まで、ゼロから調整していきます 。受注後も自分で配信設定を行い、結果を分析してレポーティングするまで一貫して伴走するため、自分の仮説がどう市場に刺さったのか、確かな手ごたえを持って理解できるのがこの仕事の醍醐味です。
藤井
全てがオーダーメイドで一気通貫である分、担当者の負担は決して軽くはありません。でも、そうやって手間を惜しまないからこそ、システムによる機械的な配信では実現できない「ブランドと読者の幸せな出会い」が作れるのだと思います。
石瀬
ええ。単なる「数字の足し算」ではなく、「このメディアのこの空気感だからこそ、ブランドが魅力的に伝わる」というストーリーを形にするプロセスは、非常にクリエイティブです。ブランドが抱える深い課題に対し、試行錯誤して作ったオーダーメイドの提案が確かな成果につながる。広告主から「このメディアで出してよかった」と言っていただけた瞬間に、この仕事の本当の面白さを感じますね。

アナログの経験が、デジタルの市場で大きな強みになる

藤井
DI本部のメンバーのバックグラウンドを見ると、意外にもデジタル未経験で、紙媒体やOOH(屋外広告)といったアナログ媒体の営業出身者が多いですよね。
石瀬
そうですね。実はDI本部の仕事の本質は、テクノロジーの活用もさることながら、「メディアの価値を言語化して、クライアントの文脈に合わせて届ける」という、アナログな部分にあるからだと思います。
藤井
デジタルの知識は入社後に覚えられますが、メディアの背景にあるストーリーを読み解く力や、クライアントと深く向き合って課題を突破する力は、一朝一夕には身につきません。そこをこれまでのキャリアで徹底的に磨いてきた方は、本当に強いなと感じます。オフラインメディアの営業担当者は、そのメディアが持つ「場の力」を肌感覚で知っているわけですよね。


石瀬
ええ。もちろんアドテクの専門知識は必須ですが、それは入社後に社内のエンジニアやメディア担当からも学べますし、未経験からスタートしても3ヶ月ほどあれば、一通りの提案を一人で設計できるようになります。一方で、「メディアそのものへの愛着」や「文脈を読み解く解像度」は、すぐには手に入りません。私自身、過去にタクシーサイネージの事業を経験しましたが、あれは単に「タクシーの中」という物理的な枠を売っていたわけではありませんでした。タクシーを利用する層の属性や、乗車中の気分といった「空間の文脈」と、「ブランドイメージ」を合致させることで、初めてメッセージが深く伝わる。まさにその場の力を使って、体験を設計することだったんです。同じ広告でも、高級ホテルのロビーで見るのと、ノイズの多い雑然とした街角で見るのでは、受け取り手の印象は全く変わります。
藤井

PMPにおける「どのメディアの、どの枠に載せるか」という議論も、まさにその感覚ですね。
石瀬
おっしゃる通りです。デジタル上においても、その場の力を見極めて、ブランドにとって最適なコンテキストを設計していくのがPMPの役割なんです。だからこそ、アナログ媒体で泥臭く「メディアの価値」を提案し、純広告やタイアップを創り上げてきた方の経験や突破力は、大きなアドバンテージになるはずです。

NTTドコモ×電通グループのアセットで、デジタル広告の「基準」を塗り替える

藤井
今まさにfluctは非常にユニークで面白いフェーズにあります。CARTA HOLDINGSがNTTドコモグループの傘下となり、活かせるアセットの規模が桁違いに大きくなるからです。

石瀬
現場の肌感覚としても、これから提案のスケールが一段上がるなというワクワク感があります。 私たちがキュレーションしてきたメディアの「質」に、ドコモの強力なアセットが加わる。これによって、いよいよPMPがデジタルにおける「大型ブランディング配信の受け皿」として本格的に機能するフェーズがやって来ます。さらに、広告を見たユーザーの心がどう動き、最終的な購買にどう結びついたかまで計測できるようになる。ここまで立体的で強固な提案ができる環境は、今のfluctにしかない大きな武器だと思っています。
藤井

扱う金額も、社会に与えるインパクトも、必然的に大きくなりますよね。
石瀬
ええ。時には数千万から数億円規模という、非常に大きな責任を伴うプロジェクトを任せていただくこともあります。「良質なメディア」に「圧倒的なデータ」を掛け合わせ、テレビCMにも匹敵するようなインパクトをデジタルで実現していく。このスケールの提案は、紙やOOHで大きな予算を動かしてきた方にとっても、最高にやりがいのある舞台になるはずです。
藤井
私たちが目指しているのは、単なる広告配信の枠を超えて、日本のデジタルブランディングの「新しい基準」を創ること。これだけのアセットを自由に使いこなして、市場の構造そのものをアップデートしていく。そんな「大きな勝負」ができるのは、今のこのタイミングならではの醍醐味だと思います。

市場を創る側へ。答えのないカオスにワクワクできる仲間を

石瀬
DI本部が求めているのは、完成されたマニュアルが欲しい人ではなく、「まだ誰も正解を持っていないカオス」を楽しみ、自ら社内を巻き込んで情報を取りに行くハングリーな人です。ドコモとの連携など新しい仕掛けが次々と動き出すこのタイミングで、「自分がこの市場を創る側に回りたい」という野心を持つ方と一緒に、スケールの大きな勝負を楽しみたいですね。

藤井
既存のプラットフォーム依存の慣習を打ち破り、自分たちの手でデジタル広告の新たな基準を築いていく。DI本部の立ち上げは、fluctにとっても非常に重要な挑戦です。 だからこそ、まずは最前線でこの「新しい価値」を自ら証明し、ゆくゆくはデマンド事業の責任者として組織を牽引していく。それくらいの気概を持った方にぜひ来ていただきたいですね。これまでのご自身の経験や強みを武器に、次の時代のデジタル広告市場を共に切り拓いていける方とお会いできるのを楽しみにしています。