INTERVIEW

プロダクト開発から組織開発へ、事業とともに歩むキャリア。

株式会社テレシー 取締役執行役員
吉濱 正太郎
2017年 中途入社
cross-talk

2008年にweb制作会社にデザイナーとして入社。2010年から株式会社medibaにて、キャリアポータルのモバイル広告企画ディレクションを経て、2013年より米アドテク企業である株式会社ゴールドスポットメディアの日本法人立上げ参画。2015年にMBOにより米国本社から独立し同社取締役 / COOに就任、2016年より株式会社CARTA HOLDINGS(当時VOYAGE GROUP)にM&Aによりジョイン。2020年よりVOYAGE GROUP ブランド戦略室室長として、テレシーの商品企画・プロダクト開発責任者として事業の立ち上げに従事。2021年に株式会社テレシー取締役に就任。

    
Q1現在はどのようなお仕事を?
立ち上げ期から参画し、開発責任者としてプロダクトを牽引
CARTA HOLDINGS(以下、CARTA)の事業子会社である株式会社テレシーの取締役執行役員を務めています。テレシーは、運用型テレビCMを軸とした統合型マーケティング・コミュニケーション・サービスを提供する企業です。従来のテレビCMでは難しかった広告効果の分析を、インターネット広告と同じように可視化できるツール「テレシーアナリティクス」をプロダクトとして開発し、お客様のマーケティングに活用いただいています。電通とCARTAの共同事業として2019年から開発が始まり、プロトタイプでの仮説検証を経て、2021年にローンチしました。
私はテレシーの立ち上げ期から参画し、ローンチ後は取締役としてプロダクト開発の責任者を担ってきました。今年(2024年)からは管掌領域が広がり、事業推進室での仕組み化の推進と組織開発もミッションに加わりました。
引き続き担当しているプロダクト開発本部においては、自身がプレイヤーとしても動き、自社プロダクトの戦略策定および推進を行っています。また最近では、社内ワークフローの改善や仕組み化の推進など、DX領域の課題解決にも取り組んでいるところです。
Q2CARTAに入社した背景は?
M&AによりCARTAに参画。その後、1年単位でキャリアが変化。
2016年、CARTA統合前の株式会社VOYAGE GROUPに入社しました。入社経緯としては、私が所属していた株式会社ゴールドスポットメディア(以下、GSM)をVOYAGE GROUPがM&Aしたことによります。買収されたGSMは、クリエイティブが得意な第三者配信事業で、ビデオ、リッチクリエイティブに注力している会社でした。VOYAGE GROUPとしては、アドテクノロジーにおけるビデオ領域に投資したかったという背景があります。
新卒や中途入社の方とは入社経緯が異なりますので、代わりに、これまでの私のキャリアについて振り返ってみたいと思います。私自身のファーストキャリアは、ウェブ制作会社のウェブデザイナーでした。2年ほど制作会社で経験を積んだあと、KDDIの子会社である株式会社medibaに転職し、ディレクターへキャリアチェンジしました。そして、medibaで広告制作ディレクションや広告企画を担当しているときに、取引先の担当者として出会ったのが、当時GSMの営業をしていた望月さんです。望月さんにリクルーティングされる形でGSMの日本法人立ち上げに参画したのが2013年。GSMはもともとアメリカのアドテク企業で、日本法人の立ち上げをしようというタイミングでした。その後、2015年に米国本社からMBOにより独立し、GSM取締役 / COOに就任しました。
2016年にGSMがVOYAGE GROUPへジョインしたあとは、しばらく独立して経営をしていたのですが、VOYAGE GROUP側の事業とシナジーを生み出すため、2017年にfluctへ吸収合併。しかしGSMがより事業として成長できるのは、Zucks(現CARTA MARKETING FIRM)なのではないかと考え、私が提案して改めて2018年にZucksへ統合することにしました。2019年からは、Zucksの副本部長になりアドネットワーク・DSP領域の製品開発責任者を担当したり、前述のテレシー立ち上げに参画したりするわけなので、こうして振り返ってみると1年単位で何かしらの変化がありますね。
ちなみにこれらの変化は、自分のキャリアや成長機会を求めた結果というよりも、事業視点で成長機会を追い求めた結果です。事業が成長するために自分に何ができるかを考えてこれまでのキャリアを選択してきました。GSM時代に経営危機を経験していることもあり、事業がちゃんと成長しているか、収益があがっているかを重視するようになりましたね。いまでもこれは大事な感覚だと思っています。
Q3進化に繋がった印象的なことは?
コンフォートゾーンを超えて新たな分野に挑戦する
これまでも常に挑戦と進化を意識してきましたが、テレシーの立ち上げは、近年のなかでも私自身の進化に大きく繋がった経験だと思います。
私はこれまで媒体やプラットフォーマー、サービスベンダーの立場でデジタルマーケティングに携わってきました。一方テレシーは代理店であり、顧客のビジネスパートナーとしてマーケティング全域をカバーする事業です。オフラインマーケティングを含む領域に踏み出すことは、私にとってコンフォートゾーンを超える、新たな挑戦でした。
具体的なエピソードとしては、テレシーアナリティクスの開発が挙げられます。テレシーアナリティクスは、始めは人力で運用しながら検証を重ねました。その後、大型案件でも期待通りの効果があげられることを確認したのち、プロダクトとして実装しました。まずはサービスを提供しながら価値の検証を行い、確信できたところでシステム化して生産性を高めるという流れです。
やはり、「モノを作ってから売る」では遅いと思っていて。顧客の要望に答えられるものを作ってからプロダクト化していけばいいですし、これはGSM時代からの私のスタイルでもあります。そう考えると、このスタイルを自分にとって未知の領域でも実現できたことは、大きな自信にも繋がりました。
Q4仕事をする上でのやりがいとは?
コモディティ化したマーケットのなかで選ばれるためには
テレシーが選ばれ続けるためには、できることはすべてやる。管掌領域にこだわらず、必要なことは何でもやる覚悟を持って取り組んでおり、これがやりがいになっています。
私がこのような姿勢で取り組む背景として、テレシーを取り巻くマーケットの環境変化があります。テレビCMの分析ソリューションやプロダクトは、各社ともに「自分たちでも作れるのではないか」と考え、一斉に同じ領域で競争が始まりました。その結果、この数年でプロダクトがマーケットのなかで急激にコモディティ化しました。つまり、分析機能は「選ばれる理由(POD: Point of Difference)」から「必須条件(POP: Point of Parity)」に変わったということです。
機能で差別化ができない状況において重要になるのは、一つは「戦略」です。現状を認識し、そのなかでどのような戦略を取るかが勝負を決めるのだと思います。戦略を立てるうえで私が意識しているのは、課題に対するセンターピンを外さないように解決策や仕組みを構築すること。また、課題の本質を抽出し、それをチームに対して正確に伝えることです。
もう一つ、テレシーが選ばれるために重要なのは「人材」だと考えています。人材を育成しながら組織全体を強化し、業績を伸ばしていくために、育成制度を含む全体設計をしっかりと行う必要があります。テレシーとしても私としても、組織開発や育成領域に本格的に取り組むのは初めてなので、日々学びながら進化していきたいと考えています。
Q5これから挑戦したいことは?
マーケティング・コミュニケーション領域のビジネスパートナーとして
テレシーとしては、これからの企業戦略にとって重要である「マーケティング・コミュニケーション」の領域で、ビジネスパートナーとしてお客様の支援をしていければと考えています。これを実現するために、引き続きプロダクト開発や、オペレーション・ワークフローの構築を行い、提供価値を高めていきます。
また、組織開発・人材育成にも徹底的にコミットしていきたいと思います。マーケティング・コミュニケーションは、お客様企業のより上流の課題を理解し、解決していくことが求められます。そのため、テレシーのメンバーに対しては専門スキルの育成から、ポータブルスキルの教育まで、包括的な育成制度を整えることが必要です。これに取り組むことでテレシー全体の競争力を強化し、競合企業との差別化を図っていきたいと考えています。人的資本を最大限に活かす経営が、これからのテレシーにとっての大きな挑戦です。